目がその人の魂を写す”窓”であるとしたら、クリエイターのデスクは、その人の頭の中へと通じる”道”なのかもしれない……こう考えた本誌は、気になるデザイナーやファッション界で活躍する友人たちにデスクツアーを依頼。彼らがどのように仕事をしているのかを知るべく、オフィスにお邪魔した。最高級のヴィンテージショップから取り寄せたプリミティブなデスクや手入れの行き届いた観葉植物はもちろん、時には散らかったデスクの上まで、あらゆる形のワークプレイスをご覧あれ。今回は数多くの人気ブランドを手がける敏腕PR、ルシアン・パジェスのデスクを紹介する。
10マガジン:デスクはどこで購入したものですか?
ルシアン・パジェス(以下、パジェス):フランス・キャバレー界の伝説として知られるミシュー(シンガー兼ドラァグアーティスト)の私物を集めたオークションで購入しました。1970年代から80年代にかけて圧倒的な人気を誇った、ロメオというデザイン会社のものです。ギリシャ風の柱がついたガラスの机で、キッチュでミニマルなところが気に入っています。
10マガジン: 整理整頓されたデスクと散らかったデスク——好きなのはどっち?
パジェス:クリーンでミニマルなものが好きですが、実際にここで作業をしているので、雑然とした部分も必要ですね。
10マガジン:デスクにあるもので、いちばん思い入れがあるものは?
パジェス:このオフィスにあるすべてのものに思い入れがあります。どれも私にとって意味のあるものばかりなのです。出身地のセヴェンヌ地方に関する本や、親友でジュエリーデザイナーのエリー・トップが作ってくれた牡羊座をモチーフにしたジュエリー、デザイナーのジャン・ピカール・ル・ドゥーの作品などは特にそうですね。
10マガジン:このデスクから生まれたいちばんの自信作は?
パジェス:膨大な香水コレクションですね。誰かがオフィスを訪ねてくると、決まってこの話題になるのです。誰もが香水に関するエピソードや母親がつけていた思い出の香水などをもっていて、温かみのある会話のきっかけになります。
Photography courtesy of Lucien Pagès この記事は、10 Magazine Men 58号「ELEGANCE, GRACE, BEAUTY」からの抜粋です。