September 18 2025 |
ティファニーの伝説的ジュエリーデザイナー、ジャン・シュランバージェが1965年に生み出した「バード オン ア ロック」。カリブ海で出会った黄色いオウムに魅せられた彼は、鳥という存在に詩的で普遍的な意味を見出し、メロン夫人のための一点へと昇華させた。
舞台は、彼女の私邸「オークスプリング」。鳥が種を運び、花粉を散らし、庭に命を吹き込む―そんな自然の営みに、ふたりは惹かれた。そうして生まれた「バード オン ア ロック」は、装飾を超えた、希望と自由の象徴となった。
2025年、その庭園で発表された新作「バード オン ア ロック バイ ティファニー」を手がけたのは、シュランバージェの精神を受け継ぐチーフ・アーティスティック・オフィサー、ナタリー・ヴェルデイユ。組み替え可能な構造と卓越したクラフトマンシップで、ジュエリーに新たな命を吹き込んだ。
「楽しいけれど、ふざけてはいない」―シュランバージェの哲学は、今もこの小さな鳥に宿っている。ベレー帽にブローチを添えて街を歩いたメロン夫人の遊び心は、時を超えて、今もなお私たちの想像力を掻きたたせてやまない。
Photographer ADAM FRIEDLANDER
Set designer LÉA MAZY
Watercolor paintings MARTINE STEKELOROM
Text Saori Masuda