北米ツアーを終えたばかりのニューヨークで、ATEEZのサン(SAN)がドルチェ&ガッバーナ2024年秋冬コレクションを纏い、昼間のストリートを背景に特別なファッション撮影とインタビューに臨んだ。陽光の中で際立つサンの個性とブランドの洗練されたデザインが、スタイリッシュな瞬間を創り出す。
コート/DOLCE&GABBANA
UK発ボーイズグループの需要がこの数年間ですっかり下火になったいっぽう、韓国はグローバルレベルで社会現象を巻き起こす”スーパーボーイズグループ”を次々と世に送り出してきた。いまや世界中でその名をとどろかせる8人組ボーイズグループ、ATEEZ(エイティーズ)もそのひとつだ。
2018年に韓国でデビューしたATEEZのグループ名は、「AtoZ」と「teenage」を合わせた造語「A TEEnager Z」に由来する。そこには「AからZまで、ティーンエイジャーに必要なすべてのもの」という意味が込められているのだ。ATEEZは、どうしたらあんなことができるのだろう? と思わずにいられないほど難しいステップがこれでもかというほど盛り込まれた、痺れるようなライブパフォーマンスと、ピンクやハリー・スタイルズといった世界的なポップスターのコンサートにも引けを取らない大規模な舞台演出によって、世界的な名声を手に入れた。
コート シャツ ベスト パンツ コートに付けたブローチ シューズ/DOLCE&GABBANA
昔からボーイズグループのファンは、グループの中で一番好きなメンバーを一途に応援するといわれている。ATEEZのSAN(サン)も、世界中のファンを魅了してやまない人気メンバーのひとりだ。25歳の彼がニューヨークのストリートで本誌の撮影に臨んだとき、グループはスタジアムでの3公演を含む、計13公演の北米ツアーを締め括ろうとしていた。移動の多いハードなツアー生活を乗り切るための秘訣を尋ねると、「自分がしていることに情熱を傾けることです」という答えが返ってきた。そう語るサンは、ロサンゼルスとニューヨーク、そしてワシントンD.C.で大勢のファンたちの前でライブを終えたばかりだった。
子どもの頃からポップスターに憧れていた、とサンは言う。「父も母も、ふたりとも音楽が大好きでした。僕が中学生くらいのときに、両親に連れられて初めてアーティストのライブを観に行ったんです。そのときに、僕もいつかは歌手になりたいと思いました」
サンが音楽の道を選んでいなかったら、どんな職業に就いていたのだろう。その質問をぶつけてみると、「高校生のときは、花屋さんになるのが夢でした。いつかは、この夢も実現できるかもしれませんね」と答えてくれた。
ベスト シャツ パンツ シューズ/DOLCE&GABBANA
ツアーの最大の魅力は、ファンたちと触れ合えることだとサンは語る。「ATEEZの曲は、どれも歌詞が韓国語です。韓国語を母語としない人にとっては、歌詞を覚えて僕らと一緒に歌うことはとても大変だと思います。それなのに、ツアーで世界各地のステージに立つたびに、ファンのみなさんが韓国語で歌ってくれるんです。とても感動します。一生忘れられない、大切な思い出ですね」
4月には、KPOPボーイズグループとして初めて米国最大級の音楽フェスティバル「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル(以下、コーチェラ)」の大舞台に立ち、グループ史上最大規模のライブを成功させた。「事務所の社長に呼ばれたときのことをいまでも覚えています。『コーチェラに行って、初のKPOPボーイズグループとしてステージに立つんだ』と言われました」と、サンは4月に行われた英音楽誌NMEのインタビューで語った。「(普段は)あまり動じないタイプなのですが、その日の夜は眠れませんでした」
シャツ パンツ シューズ/DOLCE&GABBANA
カリフォルニア州西部の広大な砂漠地帯に押し寄せたファンたちの前でATEEZは、「Crazy Form」や「BOUNCY(K-HOT CHILLI PEPPERS)」をはじめとするヒットチューンを連発。灼熱の太陽に負けずにステージの前で一日中彼らのことを待っていた熱狂的なファンを魅了した。「コーチェラのステージがとても美しかったことを覚えています」とサンは振り返った。
メンバーたちは、ステージ上でそれぞれの個性が光る独自のスタイリングを披露する。ピンストライプのスーツからしなやかなレザージャケット、さらにはスタッズ付きのデニムパンツまで、ありとあらゆる衣装に身を包むのだ。ツアー中のお気に入りの服装について尋ねると、サンは「クールな感じの服を着ることもあれば、もう少しセクシーなものを着ることもあります。とにかく、なんでも試してみたいんです!」と言った。その言葉通り、昨今のライブでは、フロスティカラーの煌びやかなレザージャケットやぴったりとしたブラックベスト、パリッとしたスーツなど、さまざまなスタイリングで見る人を楽しませてくれた。
コート ジャケット パンツ シューズ/DOLCE&GABBANA
そんなサンは、数カ月前にドルチェ&ガッバーナの”ファミリー”の一員に加わり、7月にはメンズオートクチュールコレクション「アルタ サルトリア」とウィメンズオートクチュールコレクション「アルタ モーダ」に参加するため、イタリアのサルデーニャ島を訪れた。
「たくさんの素晴らしい人たちと会うことができました。なにもかもが最高の体験でしたね。サルデーニャ島も本当に美しかったです」とサンは語り、「機会があれば、また行ってみたいです」と言葉を添えた。
アルタ サルトリアのコレクションショーを鑑賞するにあたってサンが選んだのは、エレガントなオールホワイトのスーツ。ゆったりとしたベルトで閉じられたジャケットにブローチをあしらい、ワイドカットのパンツを合わせたスタイリングを披露した。対するアルタ モーダの会場には、素肌の上に纏ったバロック風のブラックのコルセットとスモーキングパンツというルックで登場した。
「コレクションのディテールが大好きです。ドルチェ&ガッバーナで一番好きなのが、こうしたディテールなんです。ドルチェ&ガッバーナの服を着ていると、自分がより良い人間になった気がします」とサンは言う。
コート パンツ シューズ/DOLCE&GABBANA
今回のストーリーのためにサンは、ドルチェ&ガッバーナの2024年秋冬メンズコレクションの中からさまざまなルックを纏って撮影に臨んでくれた。スパンコールをちりばめたジャケットから、ミッドナイトブルーのベルベット素材の細身のディナージャケット、ラヴァリエール付きのシャツ、さらにはグラマラスなフェイクファーコートまで、ありとあらゆるルックを披露している。そのいっぽうで、黒一色に近いカラーパレットを通して、ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの卓越したテーラーリングの技術が際立つ。
サンにとって今回の撮影は、ファッション界での活躍の第一歩に過ぎない。はやくも彼とメンバーたちは、来年の1月から2月にかけて行われるヨーロッパツアーに向けて準備を進めている。世界制覇への道のりは、はじまったばかりだ。
シャツ パンツ カマーバンド/DOLCE&GABBANA
Photographer: GAVIN BOND
Fashion Editors: SOPHIA NEOPHITOU and GARTH ALLDAY SPENCER
Talent: CHOI SAN
Text: PAUL TONER
Stylist: JU HYUN
Hair: DAYEONG JEONG
Make-up: SEULJI LEE using Dolce & Gabbana Beauty
Photographer’s assistants: PIERRE BONNET and ZOE WILSON
Fashion assistants: JOSH HICKMAN and GEORGIA EDWARDS
Production: ZOE WILSON, ZAC APOSTOLOU and SONYA MAZURYK
Translator: SHOKO NATORI
Special thanks to JAE O and SANAE ABED