時空を超える、ルイ・ヴィトンの「モノグラム」の旅

誕生から今年、130年の時を迎えるルイ・ヴィトンの「モノグラム」。多様に変容してきたファッションのなかで、不朽のキャンバスとして受け継がれてきたこのコードは、創業者一族のレガシーでもあった。

ルイ・ヴィトンの伝統的な「モノグラム」は、ワールドカップ記念サッカーボールからラグジュアリーなワインキャリーバッグ、グラフィティをまとったストリートウェア、そして時代を象徴してきた数えきれないほどのイットバッグに至るまで、あらゆるアイテムに刻まれてきた。

今年、誕生から130周年を迎える「モノグラム」は、時代精神と鋭く共鳴してきた、その柔軟性こそが特筆すべき点だ。そして近年、ルイ・ヴィトンは現代アーティストやクリエイターたちを招き、自らの神聖なコードを再解釈させてきた。彼らはそれぞれ、この進化し続ける物語に新たなレイヤーを重ねてきたのである。

元アーティスティック・ディレクター、マーク・ジェイコブスのもとで、「モノグラム」はアートとカルチャーの対話のためのキャンバスとなった。スティーブン・スプラウスは大胆なグラフィティを重ね、リチャード・プリンスは挑発的なテキストを載せた。日本人アーティストの草間彌生は水玉模様を幾重にも押印した。また、村上隆は鮮やかなモノグラム・マルチカラー、キャンディカラーのチェリー、遊び心溢れるパンダのキャラクターを登場させ、世界的なポップムーブメントを巻き起こした。

キム・ジョーンズの時代には、ニューヨークのスケート&ヒップホップブランド、シュプリームとの画期的なコラボレーションが実現する。LVのイニシャルは、シュプリームを象徴する赤いボックスロゴとともに、フーディ、スニーカー、スポーティなバッグにあしらわれた。かつては考えられなかったこの融合は、フランスのヘリテージメゾンにストリートの文脈を与えた。

その後も、メゾンのアーティスティック・ディレクターたちはコードを再解釈し続けてきた。ヴァージル・アブローは、蓄光素材や透過レイヤーによって「モノグラム」を再構築し、ラグジュアリーにおける新たな潮流を映し出した。ファレル・ウィリアムスは、「モノグラム」を分解し、ピクセル化された未来的なパターンへと変換した。そこにはブラックカルチャーを体現する表現も取り込み、シグネチャーロゴはよりインクルーシブで、きわめてパーソナルなものへと進化した。

話題性や限定アイテム、セレブリティの愛用といった側面を超えて、「モノグラム」はひとつの「家族の物語」でもある。創業者ルイ・ヴィトンの子息、ジョルジュ・ヴィトンは、 LV イニシャルと様式化された花のモチーフと四つ葉形(カトルフォイユ)を組み合わせた、特徴的なパターンをデザインした。当時のパリは、ネオゴシックの美意識とジャポニスムに魅了されていた時代である。このパターンは父へのオマージュであると同時に、偽造品への防御策でもあった。

丈夫で防水性のあるブラウンのキャンバスに刻まれ、レザートリムで仕上げられたアイテムは、機能的な革新でありながら、やがてそれ以上に文化的な意味を帯びる存在となっていく──。

「モノグラム」のアニバーサリーイヤーを祝して、メゾンは最も象徴的な5つのバッグシルエットを再訪した。1930年代に誕生した「キーポル」と「スピーディ」は、ルイ・ヴィトンのトラベルのルーツから生まれ、トラベルバッグに柔らかな構築性とスポーティなエレガンスをもたらした。1932年の「ノエ」は、もともとシャンパーニュメゾンのためにボトルを運ぶ目的で作られたもので、最も実用的なアイテムでさえラグジュアリーになり得ることを証明している。

1992年の「アルマ」は、パリのアルマ広場とアール・デコ様式の建築的ラインに着想を得た、時代を超えて愛される洗練された流線型モデルだ。そして2007年に登場し、約100キログラムにも耐えられるといわれるモダンな「ネヴァーフル」は今年、超軽量バッグとして再解釈された。

それでもなお、「モノグラム」が最も雄弁で力強くなるのは、パーソナライズされたときである。手描きによる大胆なストライプ、鮮やかなイニシャル、遊び心ある言葉、さらには子猫のイラストまで加えられることで、このキャンバスはグローバルなシンボルから、個人のシグネチャーへと変貌する。

130年の時を経て、「モノグラム」は、出自とクラフツマンシップを語りながら、ファッション、カルチャー、そしてそれを身に纏う人々の進化を映し出す「生きたコード」へと変化してきた。

ドレス/LOUIS VUITTON

シューズ/LOUIS VUITTON

「モノグラム・アニバーサリー」コレクション「ポシェット・ヒルズ」バッグ/LOUIS VUITTON

「モノグラム・アニバーサリー」コレクション 上から「キャリーオール PM」バッグ  「オンザゴー PM」バッグ  「カラー ブロッサム」左手・リング(RG×マザーオブパール×ダイヤモンド)  右手・リング(YG×オニキス×ダイヤモンド)/LOUIS VUITTON

「モノグラム・アニバーサリー」コレクション「スピーディ・バンドリエール 20」バッグ  「カラー ブロッサム」左手・リング(RG×マザーオブパール×ダイヤモンド)  右手・リング(YG×オニキス×ダイヤモンド)/LOUIS VUITTON

「 モノグラム・アニバーサリー」コレクション「ポシェット・ヒルズ」バッグ  「 カラー ブロッサム」シングルピアス(YG×オニキス)  ブレスレット(RG×マザーオブパール×ダイヤモンド)/LOUIS VUITTON

「モノグラム・アニバーサリー」コレクション 左から  「サイドトランク MM」バッグ 「アルマ・トランク BB」バッグ  パンツ  「カラー ブロッサム」リング(RG×マザーオブパール×ダイヤモンド)/ LOUIS VUITTON

〈トップ画像・左から〉「モノグラム・アニバーサリー」コレクション「サイドトランク MM」バッグ  「モノグラム・アニバーサリー」コレクション「アルマ・トランク BB」バッグ パンツ/LOUIS VUITTON

Photographer ANTOINE AND CHARLIE
Fashion Editor FLORIE VITSE
Text JILL NEWMAN

Model FRANZISKA JETZEK at MIHA Model Management
Hair JILLIAN HALOUSKA at The Wall Group using BUMBLE AND BUMBLE
Make-up CHARLOTTE PREVEL at The Wall Group using M.A.C COSMETICS
Manicurist MAGDA S. using MANICURIST and BYREDO
Photographer’s assistant JULES MARTIN
Fashion assistant HÉLOÏSE PARSY
Casting DEAN GOODMAN
Production BIRDHOUSE PRODUCTION
Producer KIT PAK-POY at Birdhouse Production
Production assistants KATE MAIDMENT, AMELIA HEFFERNAN and GEOFFREY DIAZ
Post-production SPARKPOST STUDIO

Special thanks to Artworld Agency