大阪・関西万博、フランス館でラグジュアリーなモードの世界を体感

大阪・関西万博のフランス館が話題だ。東ゲートから大屋根リングの内側に入ると見えてくる、全体が布で覆われた建物がフランス館。「愛の賛歌」をテーマに、ラグジュアリーブランドのルイ・ヴィトン、ディオール、セリーヌ(~5月11日)や、フランスが誇るシャンパンやワインなどさまざまな種類の飲料など、伝統と匠の技を体感できる構成になっている。

Photography courtesy of Louis Vuitton

まずは、建築家・重松象平(OMA)によるルイ・ヴィトンの2つのインスタレーションから始まる。1つ目のスペースに入るとすぐに目に入ってくるロダンの手の彫刻は、ブランドのクラフトマンシップを象徴する存在として中央に展示されている。壁面には、84個のトランクと、ブランドの歴史や職人たちの技を撮影した映像が流れている。

Photography courtesy of Louis Vuitton

特筆すべきなのは館内で聴こえてくる音。フランス国立音楽音響研究所(通称イルカム)が手がけたもので、フランス館全体を通して一貫した音楽が流れている。特徴的なのは、数十個のスピーカーを使用した“実験的”な音響表現。この部屋では、ルイ・ヴィトンのアトリエで録音した実際の製造音をサンプリングし、アーティストが楽曲を制作している。

Photography courtesy of Louis Vuitton

2つ目のスペースは、より未来志向的なデザインがなされ、90個のトランクを使用した球体と映像で構成されている。アーティストの真鍋大度氏によるプロジェクションマッピングを取り入れ、ルイ・ヴィトンの「旅」のコンセプトや自然、宇宙をテーマにした映像表現が施されている。

その後には、華やかなディオールの展示が続く。トリコロールカラーの「バー」ジャケットや、トワル生地で作られた大小のルックが壁一面に広がる。その他に、2024年、“LADY DIOR AS SEEN BY”プロジェクトのために、建築家・妹島和世が手がけた「レディディオール」バッグや写真家・高木由利子の映像など、メゾンが掲げる伝統と革新の文化、そして職人技と手仕事を意識した展示になっている。

Photography by Victor Marvillet

Photography by Victor Marvillet

さらに、5月11日まで開催予定のセリーヌの展示は、メゾンのエンブレムである「トリオンフ」を日本の職人とコラボレーションした作品を楽しめる。輪島市を拠点に活動する伝統的な漆塗りの作品や美術品を制作する日本のアーティスト集団、彦十蒔絵によって特別に制作された漆アートピースやバッグがモダンな空間で紹介されている。

Photography courtesy of Celine

Photography courtesy of Celine

Photography courtesy of Celine

フランスのメゾンによる洗練された展示は、伝統文化を大切にしながらも常に革新を追い求めてきた姿勢が、館全体から伝わってくる。国をあげて取り組む文化政策の一端を感じさせるこの空間は、まるでフランスにいるかのような雰囲気をまとい、訪れるだけで旅行したかのような気分に浸れる場所となっている。

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