ヴァレンティノ 2026年秋冬コレクション

3月10日、ニューヨークからはじまった今季のファッションウィーク・サーキットがパリで幕を下ろした。その2日後の3月12日に、ヴァレンティノが2026年秋冬コレクションを発表した。あえてファッションウィーク期間外に開催することを選択したメゾンは、創業の地であるローマを再訪。その中心地にあるバロック様式の宮殿、パラッツォ・バルベリーニにて、クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレによる新作コレクションを披露した。「インテルフェレンツェ」(イタリア語で「干渉」「介入」の意味)と命名されたコレクションでは、パラッツォ・バルベリーニそのものがインスピレーション源となっている。ベルニーニやボロミーニが建築に加わったことで知られるこの宮殿は「シンメトリーとディスラプション」「秩序と動き」といった、相反する概念をはらんだ建造物でもある。ミケーレはこうした緊張感を軸にショーを構想。「規律と欲望」、さらには「構造と過剰」との駆け引きという観点から、建築とファッションとの類似性を浮き彫りにした。

フレスコ画とゴールドの装飾に彩られた宮殿の広間の床には、葉っぱを散らした人工芝のカーペットが敷かれた。ミケーレはこれを「自然による、かすかに神秘的な干渉」と表現した。それはどことなく、デイヴィッド・ホックニーの色鮮やかな風景画を想起させるものだった。

ランウェイでは、こうした緊張感はカットとカラーのコントラストという形で表現された。シャープなラインが際立つジャケットや引き伸ばされたシルエットなど、ヴァレンティノのドレスコードにおいてテイラリングが重要な位置を占めていることが見てとれる一方で、非対称やドレープ、意外な生地の組み合わせによって新鮮さを感じさせた。テイラリングのほかにもミケーレは、1月に他界した創業者ヴァレンティノ・ガラヴァーニのシグネチャーのひとつである、「衣服の後ろ」を再解釈。両肩にプリーツが施されたジャケットやノットが特徴的なトップスを披露しながらも、背中を露出させた真っ赤なドレスとゴールドのチェーンでショーを締め括った。

マスタードとラベンダー、エメラルドとワインレッドのように、色彩においても絵画のようなレイヤリングが特徴的だった。これらの色は、1980年代のメゾンのスタイルを想起させるワイドなウエストバンドと組み合わされた。装飾は最小限に抑えられ、それよりもドレープやプローポーション、さらには細かなディテールへのこだわりが感じらる。

Photography courtesy of Valentino. 

valentino.com