シモーン・ロシャが5年ぶりに来日

ロンドンを出発し台北で2日間滞在した後、来日したシモーン・ロシャさん。ドーバー ストリート マーケット ギンザで彼女のために開催されたアフタヌーンティー・パーティーにおじゃまして、来日の目的や滞在中楽しみにしていることなどを聞きました。

10 Magazine Japan(以下 ――): 空港からドーバー ストリートマーケット ギンザへは、直接いらしたのですか?

シモーン・ロシャ(以下 SR:そう、だからまだちょっと放心状態です。空港からの車中で寝てしまいました。でも、日本に来ることができて、とっても幸せです。

――では早速ですが、来日の目的をお聞かせください。

SR:ドーバー ストリート マーケット ギンザの6階のシモーネ ロシャの売り場スペースで新しいインスタレーションを設置したので、それをお祝いするために来日しました。インスタレーションは、2024年春夏コレクションの背景となったセットの一部を使用しています。解体したショーの舞台のセットの一部をここに持ってきて、常設展示の一部にしました。もともとあったインスタレーションには服を飾る「檻」があるのですが、今回新たに追加したのは、材木の一部のような背景です。ファッションショーに登場した「チャペル」を木材で表現しました。

――2024年春夏コレクションのテーマは結婚式でしたね。結婚式の伝統や言い伝えをコレクションに取り入れてらした。

SR:その通り。セレモニーがテーマでした。アイルランドのチャペルをモチーフに取り入れたショー会場でした。海の潮が引くと、人々はカバナ(小屋)と呼ばれるところに行列を作ったという言い伝えがあり、それにインスパイアされたコレクションでした。

――服に多く施されたバラの花のモチーフにはどのような意味が込められていたのでしょう?

SR:バラはこの24年春夏コレクション「ドレス・リハーサル」に由来します。このショーは三部作の第1話です。「ドレス・リハーサル」は春のセレモニーを表現したため、バラはパーティの華やかさを象徴していました。3部作の最後の第3話のテーマは「お通夜」でしたので、バラはボーン(骨)やコルセットを想起させます。

――パールも使用されていました。セレモニーなどにパールを身につける光景は日本でもよく目にしますが、アイルランドにも同じような慣習があるのでしょうか?

SR:はい、アイルランドにもあります。パールはブランドのシグニチャーでもありますしね。特別なセレモニーのときに身につけるある意味、伝統的な装飾品で「フィーリング(感情)」を表してくれると言うべきなのでしょうか。日本のセレモニーは好きです。10代の頃から日本にはよく遊びに来ていたので、偶然(神社の)セレモニーなどを目にしていました。

――その頃と今の東京は変わったと感じますか?

SR:ちょっとずつ変わってきていると思います。

――前回の来日はコロナ前でしょうか? 今回、特に楽しみにしていることは何ですか?

SR:今回は少し長く滞在するつもりなので、リストがいくつかあります。まず明日は、原宿の骨董市。他には、写真集やアート系の本を扱っているアンティークのブックショップなど。ドーバー ストリート マーケット ギンザのブックショップは、素敵です。

――東京に来たら必ず立ち寄るところはありますか?

SR:ドーバー ストリート マーケット ギンザ(笑)。毎回、シモーン ロシャの売り場に特別なインスタレーションを手掛けるように心がけているのも理由の一つですが……。あとは思い付きです。今回は子どもたちも一緒なので、家族と一緒に何かを見たり、遊べたりすることができるところがいいですね。

――来日したときに必ず行くお店どこですか?

SR:コム デ ギャルソンとアンダーカバーは好きなので、必ず行きます。

――日本や東京での思い出を聞かせてください。

SR:初めて東京に来たのはティーンエイジャーのときで、16歳でした。家族と一緒だったのですが、強く印象に残っているのは道行く人たちの服装です。カラフルな原宿ガールズから、アバンギャルドなモード服を纏った人、それに着物を着た人たちが混在していました。いろいろな服装をした人たちが入り混じっている光景は私が生まれ育ったアイルランドでは目にしたことのないものでした。以来、私はミックスするスタイルが好きになったのです。

――あなたにとって、ずっと変わらないスタイルとは?

SR:私が本当に好きなのは、実は女子中高校生の制服です。スクールガールズの白いソックスと制服姿。それにパールを合わせたミックススタイル。まるで今日の私のルックですね。

――あなたにとって東京とはどのような場所ですか?

SR:インスピレーションが湧く街です。それと、少しだけ世界から放り出された感じがして、私はそこがとても好きです。そして歴史を感じるところです。伝統的なところとモダンなところのミックスが好きです。日本人にとってもそう感じるものですか?

――はい。少なくても私はそう感じます(笑)。今日はありがとうございました。

SR:こちらこそ。マイプレジャー。

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