ヒステリックグラマーの伝説的デザイナー、北村信彦が語る音楽とファッション

音楽とファッションはいつの時代も互いに刺激し合い、いくつものカルチャーやトレンドを生み出してきた。2025年春夏号の本誌では、音楽とファッションの関係性の“今”について、カリスマと呼ばれる存在を作るクリエイターやアイコンたちを仕掛ける縁の下の力持ちなど、今をときめくアーティストやクリエイターたちにインタビューを敢行。

ここでは2024年にブランド設立40周年を迎えた「ヒステリックグラマー」のレジェンドデザイナー、北村信彦のインタビューを紹介する。

──ミュージシャンを惹きつける要素をどう分析しますか?

ブランドを始めた当初から、レディス服でも開きを左前のメンズ仕様にしてるんです。そうすれば、そのサイズの男も着られるから。ボトムもローウエストだから男もはける。今となってはユニセックスって定番化されてますけど、当時そんな考え方をしてる人は多分いなかった。だからミュージシャンに支持され始めたんだと思います。

1980年代の後半にNYにうちのお店があったんです。そこでたまたまうちのジーンズを見たイギー・ポップが、自分のはいてるジーパンを送ってきて「このサイズで作ってくれ」って。びっちりしたローウエストをかっこいいって思ってくれたみたい。自分が思いを込めて作った服が届いて欲しい人に届いてるっていう奇跡が何度もありました。

──今かっこいいなと思うミュージシャンは?

韓国のカルチャーはスキップしてきたんだけど、パンデミックを機に韓国のドラマや映画を見るようになって、そしたら話も面白いし使われてる音楽なんかもかっこいい。

そこから音楽もさかのぼったりして、そうしたらBLACKPINKのガールクラッシュな感じというか今のK-POPの潮流の大元に辿り着くわけです。それが2NE1。4人それぞれ個性あるし、曲にもパフォーマンスにもカルチャーを感じる。その時代に彼女たちを知らなかったことを後悔しました。

2024年のブランド40周年の時にムック本を作ることになって、再始動で来日するCLが巻頭のモデルをやってくれることになって。その後、2NE1のベストアルバムのジャケットデザインと復活ライブの東京公演のステージ衣装の依頼が来たんです。60歳でもほら、まだ夢って叶うんですよ。

──40周年を迎えて、今後のビジョンは?

ありがたいことに、お客さんも3世代になりつつあるんです。けどふと考えてみた時に、服を始めた当時自分に影響を与えてくれたパンクとかサイケデリックのカルチャーを作ってくれてた人たちのために服を作ったことないんですよ。今もうその人たちって80〜90代。その世代にも向けて服作ってみたいって思い始めてます。

それと今のZ世代。K-POPとかアニメで育った10代と、パンクカルチャーを作ったおばあちゃん・ひいおばあちゃん世代が共通のクローゼットで、同じ色に髪を染めて街歩いてたらそれかっこいいかもな、なんて。ユニエイジな服、いいでしょう?

Profile
北村信彦

東京都出身。1984年、21歳の時にブランド「ヒステリックグラマー」を立ち上げたレジェンドデザイナー。60年代後半〜80年代前半の音楽をはじめとするサブカルチャー的要素を取り入れたデザインで、不動の人気と国内外多くのミュージシャンからの支持を獲得する。40周年イヤーの締めくくりとなる25年4月には、パルコ出版よりアーカイブ本『HYSTERIC SCRAP BOOK 1984-2024』をリリース。

Photographer KISSHOMARU SHIMAMURA
Text TOMOMI HATA
Editors SAORI MASUDA and TOMOMI HATA
Digital Editors MIKA MUKAIYAMA and SHOKO NATORI

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