「モダニティと都会暮らし──私はこのふたつのコンセプトに着目しました。それらに光を当てるために考えられる、最も都会的な場所でショーを開催したいと思いました。それが上海だったのです」。マックスマーラのクリエイティブ・ディレクターのイアン・グリフィスはこのように語り、まるでSFの世界から飛び出してきたかのような高層ビル群と活気溢れるカルチャーシーンとともにダイナミックな成長を続ける上海で、2027年リゾートコレクションを発表。同時に、ブランド創業75周年を讃えた。ネオンに彩られた上海の新次元のエネルギーを表現するべく、グリフィスはライターのパトリシア・マルクスの「ニューヨークは“眠らない街”かもしれない。だが、上海は眠ることはおろか、座ろうとさえしない」という言葉を引き合いに出した。
披露されたコレクションは、グリフィスが「キネティック・エネルギー(動的なエネルギー)」と呼ぶ概念を見事に体現していた。グリフィスはそれらを「パチン、パチパチ、ポンッ」といった擬音で表し、「このコレクションでは、都会のダイナミックなエネルギーと絶え間ない変化がもたらす高揚感と熱狂がすべてなのです」と言葉を継いだ。その言葉どおり、グリフィスが思い描いたどこまでも都会的なデザインとともに、大胆なストライプやスパンコールをあしらったウェア(こちらは昼夜問わず着られそうだ)、シャープなシルエットが会場を沸かせた。
会場に選ばれたのは、上海の龍美術館の西岸館。西岸地区に立つ圧巻のコンクリート建築は、ブランド創業75周年を記念したアーカイブエキシビション「The Max!」(6月17日から28日まで)の舞台でもある。それに先立って行われた2027年リゾートコレクションショーでは、場内に設置されたランウェイをアジア系のモデルたちが闊歩した。アーカイブエキシビションについてグリフィスは、「ブランド創業の1951年から今日に至るまで、連綿と続いてきたマックスマーラの歴史──途切れずに継承されてきた一連のスタイルと、その都会的なエネルギーをみなさまにお見せします」と意気込みを語った。さらには、この度のエキシビションを記念して、ミュージアムショップがマックスマーラのブティックに変身。アイコニックなテディベアファブリックを使用した「テディバッグ」やクラシックなキャメルを纏ったアイテムを展開する。
2027年リゾートコレクションを手掛けるにあたり、グリフィスは中国の文化と衣装への敬意を随所に織り込んだ。具体的には、中国の伝統的な衣装やディテールにヒントを得ながら、それらを「限りなくモダンな、マックスマーラならではのやり方」で表現したのだ。そうして研ぎ澄まされたシルエットが美しい、チョンサムにインスパイアされたドレスやニット、さらにはアシンメトリックなサッシュベルトが目を引くシャツとスカートのタックインスタイルなどが生まれた。中国文化へのオマージュはジャケットやスーツからも感じられ、鮮やかなレッドのコートやガウンが目を引いた。中国では、赤は「幸運」を表す重要な色だ。これについてグリフィスは「赤は、きわめてマックスマーラらしい色でもあります」と言及。「赤には、どこか原始的な魅力があります。赤は単なる色というよりは、色を纏いたいときに真っ先に選ばれる、ノンニュートラル要素なのです」
ほかにも、テキスタイル・アーティストのアニ・アルバースにインスピレーションを得た模様やドイツのバウハウスを彷彿とさせる大胆かつ建築的なフォルム──グリフィス曰く、マックスマーラのすべてのコレクションに息づく要素──が印象に残った。上質な素材と優れたデザインを重視するアプローチについて、グリフィスは次のように語る。「創業者のアキーレ・マラモッティのねらいは、マックスマーラをファッション界のバウハウスのような存在にすることだったのではないでしょうか」。モダンな上海を舞台に、グリフィスはブランドの哲学を忠実に守り抜いたのだ。
Photography courtesy of Max Mara.
